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カテゴリ:Leica( 3 )

セイケトミオさんのこと 5(おわり)

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写真には自分が写る。
写真を撮るひとであれば、誰しも直面するこの問いに、セイケさんはどう向き合ってこられたのか。
私がいちばん聞きたかったのはそれでした。

「被写体を探している時、私は以前に自分が見たことのある風景を求めている気がします。
誰でも、幼い時の体験やその頃に見た風景が、記憶として、また無意識のうちにも残っているものだと思いますが、私はそういうものから逃れられないと感じています。
海外で活躍されているセイケさんの中に、そういう原体験、原風景と呼べるようなものがどれだけ残り、作品に影響を与えているのでしょうか?」

「僕は子供の頃、洋物が苦手だった。映画でも音楽でも。
でも写真を撮るようになり、日本を出るときに決めたことがある。
日本人として、日本のものを海外に持ち出すことはしたくない。海外の写真家と同じものを、同じレベルで撮れるようになりたいと。
そのことが僕の中にずっとある。
だからあなたのように、昔の記憶とかそういうものはあまり引きずっていないかもしれない」

セイケさんは、私の目を見ながら答えてくださいました。

「原風景から逃れられない」というような受け身の姿勢ではいけない。
ノスタルジーを主題としたいのであれば、もっと意識的に撮らなければならないし、でなければ逆に、はっきりとその重力圏を脱しなければならない。

セイケさんが後者であることは明らかだと思います。
恥ずかしながらお話を伺うまで、私は自分がセイケさんの作品に惹かれる理由さえよく分かっていなかったのです。

京都から帰ってほどなく、写真を始めた時から使っていたCanonの一眼レフとレンズを処分し、中古のLeica M9を手に入れました。
レンズはセイケさんおすすめのコシナのゾナー 50mmにしました。

安い買い物ではなかったですが、M3を使ってみて、一眼レフよりもRFのほうがトータルで使い易いと思っていたので、セイケさんに背中を押していただいた感じです(笑)

Canon機の最後の出番は、ギャラリートークの翌日、友人の新居の撮影でした。
木の香りがする真新しい家の中を行ったり来たりしながら、セイケさんのような「光」を探している自分がいました。

Leica M9 / CZ C Sonnar 50mm f1.5 ZM

by mynas | 2016-01-14 20:52 | Leica

セイケトミオさんのこと 4

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イベントに参加する前に、決めていたことがふたつありました。
一つは、最前列の席に座ること。
もう一つは、チャンスがあれば、セイケさんにいちばん聞いてみたいことを、ためらわずに聞くこと。

「今回はなぜベニスだったのか? そもそも、普段からどんな基準で被写体を選んでいるのか?」
最後の質疑の時間、これは他の方から出た質問ですが、私も聞いてみたかったことです。

セイケさんの答えは、こんな感じでした。

「意外と準備しているわけではない。撮りたい気持ちは、突然わきあがる。
計画的にやるタイプではなく、気が向くとぱっとやるタイプ。だから撮るものにあまり統一がとれていない。
自分の中で整理し切れていない。

大事なのは、自分が撮りたいと思うものを撮ること。
なぜ(それを選ぶのか)といわれても難しい。直感とはちがう。

人は、ずっと同じものに惹かれる訳ではなく、変わっていくものだと思う。
結局、写っているのは自分自身なんじゃないか。流行りの自撮り棒なんて使わなくても(笑)
自分を撮っているというところから抜けられない」

この「写真には自分が写る」というお話、セイケさんは、ご自身のブログや、こちらでも触れていらっしゃいます。

実はギャラリートークが始まる前、セイケさんのお人柄に接する機会がありました。
1階で写真集を買い求めたとき、ちょうどその場にみえられたセイケさん。
Leicaのスタッフさんを通じてサインをお願いすると、「もう書いてあるんだけど、どうしましょう。お名前をお入れしましょうか」と言ってくださいました。
その素敵な笑顔と、驚くほど力強い握手。ほんのひと時でしたが、忘れ難い出来事となりました。

Leica M9 / CZ C Sonnar 50mm f1.5 ZM

by mynas | 2015-11-29 20:51 | Leica

セイケトミオさんのこと 1

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10月17日土曜日、京都の街は、歩くと汗ばむほどの陽気でした。
すでに目にも秋色が濃い信州とはちがって、時折吹く風と柔らかな光で感じる季節。

今回の京都行きを決めたのは、前々日の木曜日です。
セイケトミオさんの展覧会、「Monochrome in Dark」のギャラリートークがあると知ったのが、その木曜日。
展覧会自体はチェックしていましたが、イベントに関してはLeicaのサイトくらいにしか情報が無く、ノーマークでした。
慌ててLeica京都に電話すると、まだ空席が。
東京ならありえなかったかもと思いつつ、どきどきしながらスケジュール調整。
妻にも「行ってきなよ」と背中を押してもらって、金曜日の午後のバスで京都へやって来ました。

セイケさんとの出会いは、まだ月刊だったCamera Magazine誌上でのこと。
他のカメラ雑誌とはちがう雰囲気に惹かれて購入し、その中でセイケさんの作品を見たのが最初だったと思います。

Leica M3 / Summicron 50mm f2.0(1st) Tri X

by mynas | 2015-11-08 10:51 | Leica